日大三、夏は初の4強入り…内田が2試合連続本塁打
「インコース低めの真っすぐ。二塁打だなって思ったんですけど…」 三回に放った打球は左翼フェンスのラバー部に当たると、衝撃で高く舞い上がりスタンドへ。プロでは“疑惑のアーチ”も、アマ規定ではれっきとした本塁打。明豊ナインの猛抗議を横目に18日の日本航空戦に続く2試合連続だ。 その日本航空戦では原島正光外野手(3年)が大会タイ記録となる3試合連続アーチ。1年のときからレギュラーのその同級生に、ライバル意識は強い。みんなは「格が違うな」と一目置いてきたが、母・啓子さんには「あいつより打てるのに悔しい…」と打ち明けてきたという。 まさに存在を訴えるアピール弾。内田の一発に刺激されるように、打線が17安打9点と大爆発。夏は初となる4強入りを簡単に果たした。 小倉監督は「甲子園でいろいろ勉強させてもらうだけでありがたい」と謙虚な姿勢だが、内田は違う。「原島には絶対に負けたくない。あと2試合、絶対打ち勝ちます」と深紅の大優勝旗をにらんでいる。 〔写真:三回、日本航空戦に続く2試合連続本塁打を放った内田〕
★内田の母・啓子さんうれし涙 アルプス席では内田の両親が観戦。母・啓子さん(49)は「初めは二塁打だと思いました。打球が速くて見えなかったですね」と本塁打の判定にひと安心。父・正美さん(51)とともに笑みをこぼした。「幼稚園のときは甘えん坊で、教室まで送っていかないと泣き叫んで大変。高校で寮生活させるのも心配なくらいでした」(啓子さん)。頼もしくなった息子の姿に目を潤ませていた。 ★アマ解釈は「地面に触れないでフェンスを越えたら本塁打」 日大三・内田の本塁打の判定について、杉中豊・大会審判副委員長は「アマ野球ではフェンスを地面の延長と見なさない」という見解を示した。甲子園の外野フェンスはラバー部分の上に金網を張り巡らせており、内田の打球はラバーに当たり金網を越えた。野球規則は「バウンドしたフェア打球がスタンドに入った場合、エンタイトル二塁打」と定めているが、平成6年のプロアマ合同規則委員会で、アマ側は「地面に触れないでフェンスを越えたら本塁打」の解釈をとっている。
◆今大会11安打と大当たりの日大三・都築克幸内野手(3年) 「きのうは本塁打だったので、きょうは全打席ヒットを打ちたかった」 ◆連続試合本塁打が3で止まった日大三・原島正光外野手(3年) 「次はバックスクリーンに放り込みたい」 ◆今大会初先発ながら6回2失点と好投した日大三・千葉英貴投手(3年) 「僕のことより、内田のホームランはすごかったですね。入らないなあと思ったんですけど。あの2点目で気が楽になりました」
★明豊・小玉監督「ベスト8はおまけ。もう最高です」 明豊・小玉監督は完敗にも「うちが特級なら向こうは超特級。スイングが並じゃない。ベスト8はおまけ。もう最高です」と初陣の健闘に表情を崩した。「わたしも楽しかった。56歳になってもワクワクした。60歳で退職するまでにもう1度、来られんかなあ」と甲子園の余韻に浸っているようだった。 ◆日大三打線に17安打された明豊の主将・黒仁田亨捕手(3年) 「どこに投げても打たれるんで、どうすることも出来なかった」 ◆甲子園では不発に終わった通算42本塁打の明豊・草野善智内野手(3年) 「(右中間二塁打は)悔いが残らないように思いきり振った」
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